中田食品が十勝産大豆にこだわる3つの理由


私たちは出来るだけ北海道産の大豆、特に十勝産にこだわり続けます。

 

大きく分けると3つの理由があるのです。


【理由1】生産者さんたちが見える。


十勝の田園風景はとても美しい。

どこまでも続くかに見える広大な土地と青い空、清らかな水。

この豊かに自然に頂かれて育った十勝産大豆を活用したいと当社の二代目・貴戸武司が豆腐作りを始めてから30年以上が経過しています。

十勝は日本有数の農業地帯と言われておりますが、恵まれていることばかりではありません。

前年の雪解けが遅ければ春の農作業が遅れるし、冬の到来が早そうなら急いで収穫しなければなりません。

厳しい自然環境の中でも生産者の皆さんがいつも頑張っているからこそ、毎年秋には甘くて美味しい大豆が収穫されることを忘れてはなりません。

中田食品は大豆生産地の真ん中に会社(工場)があるようなものです。

夏のうちから「今年はいいぞ!」「6月が寒かった」など、いろんな話を農家さんから聞くことができます。

そのような交流などもありつつ秋には収穫され、年明けに収穫量が確定する頃には先行して大豆のサンプルが当社に届きます。

出来の良い年もあれば、イマイチな年もある。

でも私たち中田食品は、届いた大豆のサンプルだけを見ているわけではありません。

トラクターのライトだけで夜遅くまで畑で作業されている姿、

雨続きで私たちが原料確保に心配している時に「この時期のこのくらいの雨なら大豆は大丈夫」と答えてくれた自信の笑顔、いろいろ見て聞いて、最後に届いた大豆であると考えています。

「お、今年は甘くて美味しいね!」「この大豆では豆腐を作りにくいよ」など、意見はストレートに言わせて頂きます。でも「使わない」という選択肢はありません。出来がイマイチな年でも「来年は良くなるといいね。」という気持ちを込めての評価をお伝えしているつもりです。

悪天候にも負けずに農家さんたちが大豆を作ってくれた。

それならば次は、多少の出来に左右されずに安定した豆腐を作り皆様の食卓へ届けるのが豆腐屋の仕事です。

決して道外産の大豆、外国産大豆を嫌いなわけではありません。良い品質のものもあります。

しかしながら、地元で頑張っている人たちの姿を見ておきながら「安いから」とか「大量ロットでも品質が均一だから」という理由で遠くから運ばれてきた大豆を使うのはちょっと違うかなと思うのです。

もし、この文章を地元の農家さんが読んでくれていたら、雨続きで畑に出られない日は当社へ遊びに来てほしいです(事前連絡は必要です!)。

一緒に豆腐を食べながら、大豆の話をしてみませんか?

皆さんが育てた大豆で作った、できたての豆腐。最高に美味しいですよ。


【理由2】いつまでも日本の食生活が豊かであってほしい。


中田食品の現代表・貴戸武利は、2019年に3級食生活アドバイザーの認定を取得しました。

いやもう、久しぶりのテスト勉強で本当に苦労しました。3級でこんなに大変なの!?という気持ちです。
何となく受けた試験ですが、日本の食文化の多様性を改めて勉強し直す良い機会となりました。

そして、以前から考えていたことが合っているなと実感できました。

日本は南北に長く、さらには海に囲まれています。

偏西風の等の影響もあり、内陸/沿岸、南/北、日本海側/太平洋側などで多種多様の気候風土になります。各々の土地で気候風土に合わせて発展してきた食文化・食生活があることはとても素晴らしいことだと思います。

普段住んでいる土地と違う体験ができるからこそ、旅行って楽しいですよね。

そういえば地域性の違いをテーマにしたテレビ番組もありますね。

ついつい見ちゃいます。

お米の例を出しますと、ゆめぴりか、コシヒカリ、秋田こまちなど、各地の気候風土に合わせた品種が開発されています。消費者の皆さんは、産地と品種の情報で違いを楽しまれ、お好みのお米を選ばれていると思います。

お米ほど知られていませんが、大豆も各地の気候風土に合わせて品種改良・開発された様々な品種が存在します。北海道では「とよまさり」「大袖の舞」、東北地方では「おおすず」「オクシロメ」、九州地方では「フクユタカ」など、品種を数えるとお米に負けていないのではないかと思います。

お米ほど品種が問われないのは、外国産大豆の使用割合が9割を超えているからかもしれません...。

皆様もご存知のように、豆腐はとてもシンプルな食品です。

煮豆のように調味料を加えてませんし、味噌や納豆のように発酵もしていません。

だからこそ原材料である大豆の味がとても強く反映されます。

豆腐屋としては「豆腐なんてどれを食べても同じ」となってしまっては寂しい限りです。

日本の様々な気候風土の違いを楽しむアイテムの一つであってほしいと思います。

旅先で地元の食材を積極的に扱う飲食店に入った際に、お豆腐も食べて違いを感じてもらいたいなと。

そのような考えをもちながら、中田食品は十勝の真ん中で活動しています。

私たちは自分たちの作った豆腐を全国の皆様にお出しする際に、「これが北海道、十勝の大豆で作った豆腐の味だよ」と地域の特徴をお伝えするのが役目だと思っています。

特別企画で道外産(国内産は必須)の大豆を使うことはあっても、普段使いの大豆はやはり地元・北海道産(十勝産)で行きたいなと思います。

 


【理由3】十勝の大豆は甘くて美味しい。


十勝産の大豆って、本当に美味しいなと感じています。

科学的な実証はとても難しいと思いますが、私たちが信じているストーリーがあります。

 

大学時代は農学部だった、中田食品の現代表・貴戸による理科(生物学)のお話です。


動物も植物も生きていくために呼吸をしています。

呼吸により、酸素と糖を原料にして活動エネルギーを得ています。

 

植物は「光合成」を行うことで自ら糖を産生します。

 

この「光合成」による糖の産生は昼間、

「呼吸」による糖の消費は一日中行われるのですが、

植物が糖を蓄えるには、糖の収支バランスがプラスになることが必要です。

 

また、呼吸量は夜の気温に大きく依存するため、気温の低下に伴って呼吸量は低下します。

 

つまりは下記のようになります。

夜の気温が高い→糖質が少ない作物ができる

夜の気温が低い→糖質が多い作物ができる

 

北海道の夏は昼に暑くても、夜はひんやりと涼しいです。

そのため、植物は糖分を蓄えやすい傾向にあります。

 

特に十勝(帯広市周辺)は内陸性気候のため、昼夜の寒暖差が大きい。

加えて、帯広市役所のウェブサイト内の情報によると

十勝地方の晴天率は道内でもトップクラスであることが伺えます。

 

十勝地方は植物の種実が甘くなる気候条件が揃っているんです。

そういえば、大豆だけではなく小豆、ジャガイモ、とうもろこし、どれも甘くて美味しいですね。



大豆をふんだんに使うことで、生産者の想いが伝わる豆腐になる。

周りの人たちに何かを伝えるとき、伝え方、内容の良し悪し以前に、声の大きさって大事だと思います。

声の大きすぎる人も迷惑ですが、小さな声だと伝わりにくいですよね。

まずは相手に届く、しっかりとした声を出す必要があります。

お豆腐も同じように(?)その地域の大豆を僅かに使っても、その土地の特色をお伝えすることができません。

大豆の味が感じられ地域性のあるお豆腐を作るには、原料をたっぷりと使用する必要があります。

地元産の良質の大豆をふんだんに使用し、素材の甘味を感じられる当社の豆腐を、ぜひお召し上がりください。